成年後見人になったら
成年後見人には大きな責任と、処理すべき多くの仕事があります。以下のポイントを十分に理解して、後見人事務を行ってください。
1.事前準備(後見開始までの間の準備)
家庭裁判所での後見申立て手続きや後見監督人選任の手続きのための書類を提出してから、その決定通知がなされるまでには、およそ2ヶ月〜4ヶ月の期間がかかります。その間には、以下のような点に留意しながら、後見人としての準備を始めてください。
- 本人との信頼関係を確立すること。
- 本人の生活希望・嗜好・特性遺言等を把握すること。
- 成年後見制度およびその趣旨を理解すること。
- 認知症・高齢者固有の問題、知的・精神障害について十分に理解すること。
- 本人の日常生活の見守り、生活状況を把握すること。
2.後見開始直後の仕事
家庭裁判所から決定通知を受けて、2週間後から後見人としての仕事が始まります。直後の主な仕事として以下のような仕事を始めます。
- 家庭裁判所から渡された「成年後見人ハンドブック」の内容を確認します。
- 疑問点があれば、家庭裁判所または後見監督人に問い合わせ、十分な事前協議を行います。
- 1ヶ月以内に、ご本人の財産の確認と目録の作成を行います。(任意後見の場合には、後見監督人の立会いがなければ無効となりますから、注意してください。)
- ご本人の財産をすべて受け取り、安全な方法で保管します。
- リスクの高い金融商品などが財産に含まれる場合は、安全なものへの変更を専門家と相談します。
- 本人の生活プランを作成します。(当年と翌年の短期プランと同時に、3年〜5年の長期プランも検討しておきましょう。)
- ご本人の毎月の固定収入、臨時収入と必要な生活費などを確認し、年間収支計画を作成します。
- 長期収支の見積書も作成します。(医療費・介護費、施設入居費、家屋改修費などを含み検討します。)
- ご本人財産の相続権者を確認して、記録しておきます。
- 法務局へ登記された成年後見に関する「登記事項証明書」を取り付けます。(金融機関などへ届け出、変更手続きなどの時に、正式に選任された成年後見人であることを証明するためのものです。)
- ご本人への郵便物・配送物などの受け取り方法を確保します。(郵便局などへの届出が必要です。)
- 生活費の入出金を行う銀行口座について、金融機関へ後見人としての届出や口座名義の変更などを行います。
- 役所や社会保険事務所、福祉関係機関などへの必要な届出を行います。
- 介護ヘルパーさんや福祉関係者と支援サービスの継続について確認します。
- 生活費の受け渡し方法、サイクル、金額などを決めます。
3.毎月の固定的な仕事
後見人としての毎月の仕事としては以下のようなものがあります。漏れのないように的確にこなして行きましょう。
- ご本人の生活状況を良く見守ります。また心身の状態(体の健康・ストレスなど)の把握も重要です。
- ご本人とのコミュニケーション(話しかけ)を可能な限り十分に行います。
- ご本人の生活上の安全の確保、事故防止に配慮した必要な対策を行います。
- 定期的な健康診断や、適切な医療が受けられるよう手配します。
- ご本人の生活に必要な事項についての契約締結、契約更新、諸費用の支払い、ご本人への日用品購入費などの手渡し、入金・出金・口座引落額のチェックなどを行います。
- 請求書、領収書、引落し通知書などを整理し、預金通帳の記帳を行います。
- 入出金の記録を適切に行います。(ただし、ご本人の日常生活に必要な、食費・雑費などの詳細な記録は必要としません。)
- 公的機関、銀行、保険会社などからの通知などに目を通し、必要な手配をします。(権利失効などの通知には、特に注意が必要です。)
- 他の人からの信書などは、家族・親族へ渡します。
- 不明な点、自信のない事柄については、家庭裁判所、後見監督人、弁護士、税理士などの専門家に相談し、指導を受けてください。
4.成年後見終了の際の仕事(ご本人の死亡によるもの)
- 家族・親族などに連絡し、状況により葬儀までに必要な手配事項の処理や連絡などを行います。
- ご本人財産等の整理を行い、記録書類とともに相続人に引渡します。
- 清算報告書を作成し、家庭裁判所または後見監督人に提出します。