少し固い内容になりますが、法務省が作成した成年後見制度に関連する四つの法律の概要を、以下に掲載しておきます。

 私ども
京都「成年後見」支援センターの活動がどのような 裏付けをもって行 われているのか? また、当サイトに掲載している内容の根拠は何か? といったことに疑問を持たれた方は、このページで確認してください。

 

 

 

 

 

 

平成11年12月
法務省民事局 作成

成年後見制度等関連四法の概要

 

 

T

 

成年後見制度の改正について

 

成年後見制度の改正の理念

 

成年後見制度の改正に関する検討の経緯

 

法律の概要

 

(1)

 民法の一部を改正する法律(平成11年法律第149号)の概要

 

(2)

 任意後見契約に関する法律(平成11年法律第150号)の概要

 

(3)

 民法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成11年法律第151号)の概要

 

(4)

 後見登記等に関する法律(平成11年法律第152号)の概要

参考

*別表1 補助・保佐・後見の制度の概要

 

 

 

*別表2 任意後見制度(公的機関の監督を伴う任意代理制度)の概要*別表3 補助・保佐・後見の制度と任意後見制度の対応関係

 

 

 

 

II

 

公正証書遺言等の方式の改正について

 

現行の公正証書遺言の方式

 

民法改正の必要性

 

民法の一部を改正する法律(平成11年法律第149号)の概要

 

(1)

 公正証書遺言の方式の改正

 

(2)

 秘密証書遺言、死亡危急者遺言及び船舶遭難者遺言の方式の改正


T

 

成年後見制度の改正について

 

成年後見制度の改正の理念

 

 

 

 成年後見制度は、判断能力の不十分な成年者(認知症高齢者・知的障害者・精神障害者等)を保護するための制度であり、現行民法上は、禁治産・準禁治産制度及びこれを前提とする後見・保佐制度が設けられている。今回の改正においては、高齢社会への対応及び知的障害者・精神障害者等の福祉の充実の観点から、自己決定の尊重、残存能力の活用、ノーマライゼーション等の新しい理念と従来の本人の保護の理念との調和を旨として、柔軟かつ弾力的な利用しやすい制度を構築するための検討が行われた。

 

 

成年後見制度の改正に関する検討の経緯

 

 

 

 法務大臣の諮問機関である法制審議会の民法部会は、平成9年10月以降、福祉関係者を含む一般有識者の参加を得た「成年後見小委員会」において成年後見制度の改正に関する審議を行い、平成10年4月14日、成年後見制度の改正に関する要綱試案を了承し、公表した。関係各界に対する意見照会の結果、要綱試案の制度的枠組み(補助・保佐・後見の制度の導入、任意後見制度の創設等)を支持する意見が大多数を占めたため、法制審議会は、同年9月以降、上記の民法部会の成年後見小委員会において、要綱試案の制度的枠組みに沿って改正要綱の策定のための審議を行い、平成11年2月16日の総会において「民法の一部を改正する法律案等要綱」を決定し、法務大臣に答申した。法務省は、法制審議会の答申に沿って立案作業を進め、同年3月12日の閣議決定を経て、成年後見制度の改正のための民法改正法案等の関連四法案(後記3(1)〜(4))を第145回通常国会に提出し、平成11年12月1日、第146回国会において修正なく成立した(同月8日公布)。

 

 

法律の概要

 

 

(1)

 民法の一部を改正する法律(平成11年法律第149号)の概要

 

 禁治産制度及び準禁治産制度の改正

 

 

 現行の禁治産・準禁治産の制度を、各人の多様な判断能力及び保護の必要性の程度に応じた柔軟かつ弾力的な措置を可能とする制度とするため、補助・保佐・後見の制度に改めた。

 

 

(ア)

 補助(新設)

 

 精神上の障害(認知症・知的障害・精神障害・自閉症等)により判断能力(事理弁識能力)が不十分な者のうち、後記イ又はウの程度に至らない軽度の状態にある者を対象とする。

 家庭裁判所の「補助開始の審判」とともに「被補助人」のために「補助人」を選任し、当事者が申立てにより選択した「特定の法律行為」について、審判により補助人に代理権又は同意権・取消権の一方又は双方を付与する。

 自己決定の尊重の観点から、本人の申立て又は同意を審判の要件とする。

 なお、代理権・同意権の必要性がなくなれば、その付与の取消しを求めることができ、すべての代理権・同意権の付与が取り消されれば、補助開始の審判も取り消される。


(イ)


 保佐(準禁治産の改正)

 

 精神上の障害により判断能力が著しく不十分な者を対象とする。単に浪費者であることを要件とはしない(浪費者の中で判断能力の不十分な者は保佐又は補助の各類型の対象となる。)

 家庭裁判所の「保佐開始の審判」とともに「被保佐人」のために「保佐人」を選任し、新たに、保佐人に同意権の対象行為(民法第12条第1項(※))について取消権を付与した上で、当事者が申立てにより選択した「特定の法律行為」について審判により保佐人に代理権を付与することを可能にする。代理権の付与は、本人の申立て又は同意を要件とする。

 (※)民法第12条第1項各号(保佐人の同意を要する行為)についても、遺産分割の明文化等の所要の改正を加えた。


(ウ)


 後見(禁治産の改正)

 

 精神上の障害により判断能力を欠く常況に在る者を対象とする。
 家庭裁判所の「後見開始の審判」とともに「成年被後見人」のために「成年後見人」を選任し、成年後見人は広範な代理権・取消権を付与されるが、新たに、自己決定の尊重の観点から、日用品の購入その他日常生活に関する行為を本人の判断にゆだねて取消権の対象から除外する。

 



 後見制度及び保佐制度の改正

 

 

(ア)

 配偶者法定後見人制度の廃止

 

 配偶者が当然に後見人・保佐人となる旨を定める現行規定を削除し、家庭裁判所が個々の事案に応じて適任者を成年後見人・保佐人・補助人(以下「成年後見人等」という。)に選任することができるようにした。

(イ)

 複数成年後見人制度の導入及び法人成年後見人制度の明文化

 

 

(a)

 複数の成年後見人等を選任することができるようにするため、後見人の人数を一人に制限する現行規定の対象を未成年後見人に限定し、成年後見人等が数人ある場合の権限の調整規定を設けた。

 

(b)

 後記ウの規定中に成年後見人等となる者が法人である場合の考慮事情を掲げることにより、法人を成年後見人等に選任することができることを法文上明らかにした。

(ウ)

 成年後見人等の選任の考慮事情の明文化

 

 本人との利益相反のおそれのない信頼性の高い個人又は法人が成年後見人等に選任されることを手続的に担保するため、成年後見人等の選任に当たって家庭裁判所が考慮すべき事情として、「成年後見人等となる者の……本人との利害関係の有無(成年後見人等となる者が法人であるときは、その事業の種類及び内容並びにその法人及びその代表者と本人との利害関係の有無)」、「本人の意見」等の事情を法文上明示的に列挙した。

(エ)

 身上配慮義務及び本人の意思の尊重等

 

 自己決定の尊重及び身上監護の重要性を考慮して、現行民法第858条の規定に代えて、成年後見人等は、その事務を行うに当たっては、本人の意思を尊重し、かつ、本人の心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならない旨の一般的な規定を創設する。また、身上監護に関する個別的規定として、成年後見人等による本人の居住用不動産の処分について、家庭裁判所の許可を要する旨の規定を新設した。

(オ)

 監督体制の充実

 

 成年後見監督人に加えて、保佐監督人・補助監督人の制度を新設するとともに、成年後見人等を選任する場合と同様の考慮事情(前記ウ)を規定することにより、法人を成年後見監督人・保佐監督人・補助監督人(以下「成年後見監督人等」という。)に選任することができることを法文上明らかにするなど、所要の規定の整備を行った。

 

 

 


(2)


 任意後見契約に関する法律(平成11年法律第150号)の概要

 

 

 特別法の制定により、次のとおりの任意後見制度(公的機関の監督を伴う任意代理制度)を創設する(以下、補助・保佐・後見を「法定後見」という。)

 

 

(ア)

 任意後見契約の締結・方式

 

 本人は、自ら選んだ任意後見人に対し、精神上の障害により判断能力が不十分な状況における自己の生活、療養看護及び財産管理に関する事務の全部又は一部について代理権を付与する委任契約を締結し、家庭裁判所が任意後見監督人を選任した時から契約の効力が発生する旨の特約を付すことにより、任意後見契約を締結することができる(任意後見監督人の選任前の受任者を「任意後見受任者」という。)

 任意後見契約は、公証人の関与により適法かつ有効な契約の締結を担保する等の観点から、公証人の作成する公正証書によることを要する。


(イ)

 
 家庭裁判所による任意後見監督人の選任

 

 任意後見契約が登記されている場合において、精神上の障害により本人の判断能力が不十分な状況にあるときは、任意後見受任者に不適任な事由がある場合等を除き、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族又は任意後見受任者の申立てにより、任意後見監督人を選任する。

 自己決定の尊重の観点から、任意後見監督人の選任は、本人がその意思を表示することができない場合を除き、本人の申立て又は同意を要件とする。


(ウ)


 任意後見監督人の職務等及び任意後見人の解任

 

(a)

 任意後見監督人は、任意後見人の事務を監督し、その事務に関し家庭裁判所に定期的に報告をすること等を職務とする。

(b)

 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、任意後見監督人に対し、必要な処分を命ずることができる。

(c)

 任意後見人に不正な行為、著しい不行跡その他その任務に適しない事由があるときは、家庭裁判所は、任意後見監督人、本人、その親族又は検察官の請求により、任意後見人を解任することができる。


(エ)


 法定後見との関係の調整

 

 任意後見契約が登記されている場合には、家庭裁判所は、本人の利益のため特に必要があると認めるときに限り、法定後見開始の審判をすることができる。

 その開始の審判の申立ては、法定後見開始の審判の申立権者のほか、任意後見受任者、任意後見人又は任意後見監督人もすることができる。

 任意後見監督人の選任後に法定後見開始の審判がされたときは、任意後見契約は終了する。

 


(3)


 民法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成11年法律第151号)の概要

 

 

 民法の一部を改正する法律の施行に伴い、「禁治産」「準禁治産」等の用語の整理のほか、判断能力の不十分な者の保護を図る同法の趣旨・目的に沿った整備等を一括して行うものである。

 

 

(ア)

 市町村長の申立権

 

 身寄りのない痴呆性高齢者・知的障害者・精神障害者等に対する適切な成年後見の開始を制度的に担保する観点から、老人福祉法・知的障害者福祉法・精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の中に、補助・保佐・後見の開始の申立権を市町村長に付与する旨の規定を設けた。

(イ)

 欠格条項の見直し

 

 現行法令中の禁治産者・準禁治産者に関する欠格条項の見直しに関しては、ノーマライゼーションの理念等の観点から、@新設の補助については欠格条項を付さない、A後見・保佐についても、当該法令中の能力審査の手続により当該資格に相応しい判断能力が担保されるものについては、現行の欠格条項を削除するという統一的な方針の下に、関係法律の整備を行った。

 

 

 


(4)


 後見登記等に関する法律(平成11年法律第152号)の概要

 

 

 戸籍への記載に代えて、法定後見及び任意後見契約に関する新しい登録制度として、成年後見登記制度を創設し、原則として裁判所書記官又は公証人の嘱託により、登記所に備える登記ファイルに法定後見及び任意後見契約についての所要の登記事項を記録するとともに、代理権等の公示の要請とプライバシー保護の要請との調和の観点から、本人、成年後見人等、成年後見監督人等、任意後見受任者、任意後見人、任意後見監督人その他一定の者に請求権者を限定した上で登記事項証明書を交付するものとする。

 

 

*別表1 補助・保佐・後見の制度の概要

 

 

*別表2 任意後見制度(公的機関の監督を伴う任意代理制度)の概要

 

 

*別表3 補助・保佐・後見の制度と任意後見制度の対応関係

 


II

 


 公正証書遺言等の方式の改正について

 

 現行の公正証書遺言の方式

 

 

 現行民法は、公正証書遺言の方式について、「口授」、「口述」及び「読み聞かせ」を必須の要件としており(第969条)、かつ、秘密証書遺言のような例外規定(第972条)を設けていないため、現行民法の解釈としては、手話通訳又は筆談によることはできず、聴覚・言語機能障害者は公正証書遺言をすることができないものとされている。このように、現行民法は、フランス民法と同様、遺言意思の真正及び正確性の担保の観点から、遺言の方式について特に厳格な口頭主義を採用している。

 

 民法改正の必要性

 

 

 聴覚・言語機能障害者についても、手話の発達した状況等にかんがみ、近年、公証人の関与による遺言の適法性の担保、公証人役場における証書の保管(滅失・改ざんの防止)、家庭裁判所の検認の省略等のメリットを有する公正証書遺言を利用することができるようにすべきであるという社会的要請が高まりを見せている。

 そこで、法務省は、平成10年1月、聴覚・言語機能障害者が手話通訳又は筆談により公正証書遺言をする途を開くための民法改正法案を平成11年の通常国会に提出する方針を公表した。これを受けて、法制審議会は、民法部会の身分法小委員会において、手話通訳をめぐる現在の状況、公正証書遺言に関する諸外国の法制等に関する調査研究の結果及び関係団体等のヒアリングの結果を踏まえて、民法改正についての審議・検討を行い、平成11年2月16日の総会において改正要綱を決定し、法務大臣に答申した。法務省は、法制審議会の答申に沿って立案作業を進め、同年3月12日の閣議決定を経て、成年後見制度の改正と一括の民法改正法案を第145回通常国会に提出し、平成11年12月1日、第146回国会において修正なく成立した(同月8日公布)

 

民法の一部を改正する法律(平成11年法律第149号)の概要

 

 

(1)

 公正証書遺言の方式の改正

 

 民法第969条の改正及びその特則規定の新設により、聴覚・言語機能障害者が次の方法により公正証書遺言をすることを可能にした。

 


(a)


 聴覚・言語機能障害者は、「口授」に代えて、「通訳人の通訳(手話通訳等)による申述」又は「自書」(筆談)により、遺言の趣旨を公証人に伝える。

(b)

 公証人は、「読み聞かせ」に代えて、「通訳人の通訳」又は「閲覧」により、筆記した内容の正確性について確認をする。

 

(注)

公正証書遺言一般について、「読み聞かせ」と「閲覧」の選択を可能にした。

(2)

 秘密証書遺言、死亡危急者遺言及び船舶遭難者遺言の方式の改正

 

 上記1の改正に伴い、口頭主義を原則とする秘密証書遺言、死亡危急者遺言及び船舶遭難者遺言についても、聴覚・言語機能障害者が「通訳人の通訳」(手話通訳等)によりこれらの方式の遺言をすることを可能にするため、民法第972条、第976条及び第979条の各規定に所要の改正を加えた。

 

 

以 上