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利用者の声

知的障害の兄の遠距離申請をやってみて 誰もが利用しやすい「成年後見制度」を

失敗談より 滋賀県大津市  S.H

2005年1月  きっかけ

里帰りした際、実家に見慣れないDVDや健康薬品まがい・羽毛布団、そして父が良く分からない保険契約をしていたのを見つけたことが始まりでした。

父の認知障害がすすみ、金銭面での判断力が以前と違うと感じ、成年後見制度の説明をし手続きをしようと進めていました。ところが父は「まだ自分でできるので今はイヤだ」と主張し、すったもんだの末、父の手続きはあきらめました。

そこで、知的障害がある兄の「成年後見」手続きをいつかはしようと考えていましたので、この機会に兄の手続きをすることにしました。兄は職場のグループホームで生活しており、日常的な金銭管理は職場にお世話になっています。障害基礎年金は実家の親がそれまで管理していましたが、老齢で難しくなっていたため私が管理を引き継ぐことになりました。

2005年3月

制度の概要はファイナンシャルプランナーの勉強会等で知っていましたが、手続きの詳細については分からないことが多かったので、大津裁判所に聞きに行きました。1時間くらい、丁寧に教えていただいたのですが、申し立て先は本人(兄)の住んでいる鹿児島の裁判所なので、細かな点については地元の裁判所に確認してください、とのこと。

休み時間に鹿児島の裁判所に公衆電話で尋ねました。あっという間に2000円くらい使ったのを記憶しています。

申請書類をそろえるのも一苦労

聞き慣れない書類が多く、どこの窓口に行ったらいいのかから始まりました。働いているため、昼休みを利用したり、インターネット申請をしたり、休みをとったりしての準備でした。

本籍地の役場で:2人の戸籍謄本、本人の戸籍附票 (兄の申請は郵送でしました)

市役所の支所で:保佐人候補者(私)の住民票と身分証明書

法務局で:2人の「登記されていないことの証明申請書」2人の戸籍謄本の添付が必要ですが、これは見せたらその場で返却されます。
(法務局の窓口は12時〜1時もやっていたので、昼休みに申請ができ助かりました。)

2005年8月   最も難儀したのは「健康診断書」

健康診断書は、寮育手帳で代用できないかと頼んでみましたが、却下。

兄は健康で特に主治医はいないので鹿屋家裁にどこで「健康診断書」をとったらいいか尋ねると、「心療内科か精神科でとってください」と。病院は教えてもらえずインターネットで実家近くの病院を調べて1件ずつ電話で問い合わせました。

病院は「成年後見ってなんですか?」から始まり、手続きの手引書をFAXで送り2〜3日返事を待たされて、「うちではできません」の返事。

3つの病院から断られ、困り果てて再度鹿屋家裁に「健康診断書」を書いてもらえる病院を教えてほしいと頼みましたが、病院は教えてもらえず前回の答えと同じ。

ふと地元の社会福祉協議会に尋ねてみました。丁寧に話を聞いてくださり、配慮のある病院を教えてくださいました。問い合わせると即OK。予約できました。あの断られた3つの病院はなんだったんだろう?と思いました。

医師が最後に兄に「お仕事頑張ってくださいね」と語りかけてくださり、こんなお医者さんに初めて出会い、目頭が熱くなりました。

2005年8月   司法書士に代行手続きを依頼

申請先の鹿屋家裁と離れているため、電話で問い合わせたり、申し立て書類を準備するのは大変だろうと思い、地元の司法書士の方に代行手続きを依頼しました。(社会福祉協議会に勤めている友人からのアドバイス)

私からの聞き取りの後、申し立て書類は司法書士さんに作成してもらいました。

父の成年後見の時から親身になって相談にのってくださり人情味あふれるいい方だったのですが、「成年後見手続き」に関しては多分、経験がなかったのかもしれません。

2005年8月末  「健康診断書が違うので取り直してください」

全国共通版だと思っていた「健康診断書」が鹿児島の書式と違うので取り直さないといけない、と司法書士さんから連絡

健康診断書を取るには、私が仕事の休みをとり鹿児島に帰り、兄のグループホームに迎えに行き病院の開いている時間に行かなければなりません。兄も働いており冠婚葬祭以外の休みはやっぱり取りにくいのが現状です。滋賀県から鹿児島の実家へは日帰りは不可能で最低でも休暇は2日取得になりますし、往復の飛行機代もばかにはなりません。

また、補助申請をしていたのですが、療育手帳をもらっていると保佐申請になり、鑑定も必要とのこと

「市民後見センター きょうと」との出会い

色々悩みHPで「京都成年後見センター」を見つけメールで相談したところ、アドバイスを頂きました。遠慮せずに自分の状況(遠距離で申請しようとしていること、保佐人候補も被保佐人も働いていること等)を伝えて便宜を図ってもらえないか相談してみたら、と。

鹿屋家裁に電話で相談したところ「そういう事情なら健康診断書は取り直さなくても、前のものでいいですよ」と。(今度は自宅のIP電話でかけました)

その後、センターの内藤様にはメールで相談にのって頂きアドバイスを頂きました。一人でやっていると思うと気持ちがしんどくなる時もありましたが、それ以降は、困った時に相談できるという安心感ができました。

2005年10月  面談

裁判所から連絡を待っていましたが音沙汰がないので、両親の看病がてら帰省する日程を家裁に連絡しておいたところ(FAXで連絡)、それにあわせて面談の日を決めてもらえました。

兄の職場には、家の事情でどうしても休まないといけないので、と休みをもらいました。

鹿児島裁判所の調査官が鹿屋まで来られて、「飛行機の時間は大丈夫ですか?」と時間の便宜も図ってくださり、有り難かったです。

印象として、調査官は兄が緊張しないように、おだやかに暖かく接してくださったと感謝しています。

兄との内容は、「今回のことについて同意されますか?」簡単な計算、文字を書いたり、今の生活や仕事について質問をされました。一つ一つ、ゆっくり兄は答えていました。

終わってから、実家の母に「裁判が終わったよ」と、兄はほがらかに語っていました。

2006年3月  鑑定日程が決まる。

鹿屋裁判所の書記官に3月末の帰省予定を伝えていたら、医師の鑑定日程をそれに合わせて決めてもらえました。

兄の職場は丁度忙しい時期だったため、休みをもらうのに少々難儀をしました。

病院に行ったら、ちゃんと予約していたのに、医師が出張不在で鑑定が翌日に変更になり、兄ももう一日余分に休みをもらうというハプニングがありました。 〈鑑定費用 7万円〉

2006年5月  裁判所から決定通知が届く

手続きを決意してから約1年。ほっとしました。

しばらく、なんにもする気がしませんでした。

その後、保佐人として、登記事項証明書も取り寄せて金融機関で新規で兄の口座開設をしようとしたところ、断られました。「代理権が付与されていません。」

怒り心頭状態で鹿児島家裁の調査官に電話で確認しました。

「申し立ての際、1回で手続きが済むようにお願いしたはずなのですが…」

「代理権を付与するということは、本人の能力を制限することにつながる…」

「再度、代理権付与の申請が必要。代理権が必要と思われる項目を全て書き出して申請してください。」

2006年8月  「市民後見センター きょうとへ相談に行く」

京都駅から5分のところに常設相談所と聞き、今までのお礼を兼ねてと代理権のことについて相談に行きました。

手続き中、同意見・代理権・取り消し権の3つがよくわからず、漠然と将来のためにという申し立てだったため「代理権付与の申し立て」をしていなかったことが分かりました。

最近出来たという京都裁判所の「代理行為目録一覧」を元に、内藤様から一つづつ我が家の場合、必要かどうかを教えて頂きました。「漠然とでなく、なぜ必要なのかを具体的に示すのが大事です。」と。

内藤様の信念

相談が終わってから、内藤様にNPO法人を立ち上げられたきっかけをお聞きしました。今後、お金を管理する別法人を立ち上げて、財産管理と後見実務を分けたシステムを全国に広めていきたいという構想を聞き、私にも何かお手伝いできることがあれば、と感じました。 「二つの非営利法人による同時引き受け方式」

兄のことは一人で考えることが多く、内藤様のように支援くださる方の存在を知ったことが、これからの励ましになりました。

2006年8月29日  再度、追加申請  鹿屋裁判所に申請書類を持っていく

保佐人・被保佐人の住民票と戸籍謄本
登記事項証明書1,000円、(法務局に郵送申請 1週間ほどでとれました)
切手2450円分、登記印紙2000円、収入印紙800円
申し立て書類、添付資料3枚
費用計:6,750円

被保佐人の同意を確認するために、その場で8月31日に裁判官と本人・申立人の面談が決定。

2006年8月31日  裁判官と面談

裁判官という人種と話すのは初めてで、私も兄も前回以上に緊張しました。

代理行為の項目を一つずつ確認されました。

内藤さんから頂いた京都裁判所の「代理行為目録一覧」を元に説明すると、東京で使用している書式(代理行為一覧)を出されて、それを元に進められました。

印象:裁判官はもっと知的障害のある方のことも認識して欲しい。

難解な言葉でなく分かりやすい表現で、暖かく話しかけるとか…

最後に裁判官に、手続きの仕方が全国統一でなく困った。「大津裁判所で聞いたこと、京都裁判所の書式、鹿屋家裁の説明、法務局のHPからとった健康診断書が鹿児島では取り直しを言われたこと、」等を伝え、今後ぜひ改善を図って欲しいことを伝えました。

裁判官は、「成年後見制度自体が始まったばかりのため。」

「裁判所はそれぞれが独立した機関なので、統一的にはならないこと。」
等の理由を挙げられましたが、私の要望に対して前向きな姿勢を感じとることができず、残念でした。

2006年9月2日  代理権付与の決定通知届く

手続きをしてみて

  • 具体的な手続きの仕方や申立書の書き方が分からないことが多すぎる。
    「市民後見センター きょうと」を知り相談できたから、ここまでたどりつけました。
  • 手続き方法・書式は全国共通であって欲しい。
    申請書式が全国統一でないのに困りました。(特に健康診断書)
    「代理行為一覧」も統一されているほうが申請しやすい。
  • 裁判所は書記官・調査官・裁判官の連携をもっと図ってほしい。
    手続きの最中によく言われました。
    「それは、調査官に聞いてください。」
    「それは、書記官に聞いてください。」
    「それは裁判官が判断されることですから」
    費用負担の軽減を。必要書類をもっと少なく。
    地域によっては、寮育手帳があれば健康診断書は不要のところもあると聞きました。
  • 私の場合、手続きにかかる費用や帰省のための飛行機代等は親が負担してくれたため、助かりました。鑑定代7万円が自分負担だったら、手続きしていないでしょうね。
  • 遠距離申請される方は、事情を伝えられるといいです。
    最初は、いつ裁判所から呼び出しがあるかと、仕事の日程がいれられず困っていました。事情を話したところ私の帰省の日程に合わせて頂けることが多く、感謝しています。
    私は遠距離申請だったため複雑だったのかもしれません。申請される方の事情によって、違いはあると思いますが、利用しやすい「成年後見制度」を望みます。

活用したもの

FAX・IP電話・HP
相談できた方々
社会福祉協議会の友人、裁判所の調査官の知人、地元の社会福祉協議会の方、
「市民後見センター きょうとの内藤様」

費用総額 (記憶の範囲で)

帰省費用を除くと約11万円

1回目の必要書類・申請代 16,740円
司法書士さんへの代行手続き依頼 20,000円
鑑定代 70,000円
2回目の必要書類・申請代 6,750円
帰省費用4回分(8月・10月・3月・8月) 180,000円
費用合計 293,490円

1回目の必要書類・申請代の内訳

登記印紙 4,000円
収入印紙 800円
切手代 3,240円
登記されていないことの証明申請 2通 1,000円
戸籍謄本 2通 900円
戸籍附票 1通 200円
住民票 1通 300円
身分証明書 1通 300円
医師の成年後見用診断書(初診料含む) 6,000円
合計 16,740円

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