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よくあるご質問「ここが知りたい法定後見」

よくあるご質問「ここが知りたい法定後見」

法定後見利用相談事例 Q&A

クリックすると回答が表示されます。

(*)は任意後見にも共通する項目です。

1.後見人は無資格でいいのですか?(*)

成年後見人になることについて、特に資格などは必要ないのですか? 誰でもなれるのですか?

(法定・任意共通)

はい、特別な資格は求められていません。後見人には国家資格や公的資格、その他の認定資格も一切不要です。「成年後見人」には資格ではなく、「後見人としてふさわしいかどうか?」が求められるのです。

 現実問題として以下のような人は後見人候補としてふさわしくありません。

  • 既に相当の高齢に達している人
  • 病気がちの人
  • ご本人と金銭の貸し借りがある人
  • 入居先施設の関係者など、利害関係のある人
  • いざというときに来てもらえない人

 「法定後見」では、申立ての書類に書かれた「後見人候補者」について家庭裁判所の調査官が以下のような事項を調査します。

  • 本人との関係
  • 欠格事由の有無(破産者でないことなど)
  • 学歴・職歴
  • 家庭・経済状態
  • 資産・負債の状況

 その結果、家庭裁判所がその候補者は「適当でない」と判断すれば、家庭裁判所に登録された人の中から適切な後見人が選任されることになります。

 「任意後見」の場合は、「ご本人が一番信頼できる人」が最も任意後見受任者にふさわしい人といえます。

2.後見人は、どこまでのことをしてくれますか?(*)

後見人が実際にどんな仕事をしてくれるのかよく分かりません。本人のために老人ホームを探したり、病気のときに適切な病院を紹介したり、入院手続きをしたりしてもらえますか?

(法定・任意共通)

後見人の仕事は「法律上意味を持った行為」に限定されます。具体的には、金融機関との取引、預貯金の出し入れ、施設・医療機関との契約、手続などを行いますが、老人ホームの資料を取り寄せて比較検討したり、評判の良い病院を選んだりすることは本来の後見人としての仕事ではありません。

 しかし一方、「後見人は、ご本人(成年被後見人)の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務を行うに当たっては、ご本人の意思を尊重し、かつ、その心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならない。」と規定されていますので、後見人は、可能な限り本人の希望に沿った形で、質の良い住居や医療などを選択・提供する努力をするのは当然です。

 当センターでは、後見人の責務を「ご本人のための幅広い生活支援」と考えていますので、上記に拘わらず、電球の取り換えでも、病院の付き添いでも対応可能なことは行う方針です。

(注)後見人の仕事には、ご本人の日常生活のお世話、買い物の代行、病院への付き添い、身体介助などは含まれません。

 弁護士、司法書士などの第三者を後見人にとする場合には、どの範囲までの仕事をしてもらうか、また、その対価としての報酬はどれだけにするかなど、事前によく協議しておく必要があります。

3.後見人の任期はいつまで続きますか?(*)

後見人に一度選任されたら、そのまま一生後見人を続けなければなりませんか? いま祖母の後見人になるようにと頼まれているのですが、この先何十年も拘束されるようであれば、とても引き受けられません。

(法定・任意共通)

 後見人は原則として、ご本人がお亡くなりになるまでその責務を果たさなければなりません。

 「後見人は何年間続けなければならない」といった決まりはないのですが、後見人に選任された後に辞める場合には、家庭裁判所の許可を得なければなりませんし、そのためには「正当な理由」がなければなりません。例えば「会社から海外支店への転勤を命じられて、後見人としての仕事が事実上継続できない」とか、「自分の家族に犠牲を強いながら、10年以上も後見人の仕事を続けてきたがこれ以上は続けけられない」といったような明確な理由があれば、「正当な理由」として認められる可能性が高いと言えます。

任意後見」の場合、任意後見監督人選任の前であれば、いつでも「任意後見契約」を解除することができます。監督人が選任された後に後見人を辞任する場合には家裁の許可が必要です。

4.後見人は報酬や経費を払ってもらえますか?(*)

父親の後見人となることを考えていますが、後見人としての報酬というものは貰えるものでしょうか? また、後見人の仕事のために支出した交通費その他の費用はどのように精算されますか?

(法定・任意共通)

法定後見の場合には、家庭裁判所に「報酬付与の審判」という申立をして、家庭裁判所が妥当と判断して承認した額を報酬として受け取ることができます。勝手に報酬額を決めることは許されません。報酬の請求をしないことも自由であり、家族・親族後見人の場合には、請求を辞退して無報酬となる場合が多いようです。

 後見人としての仕事をするために要した交通費や通信費、役所での証明書代などの実費は、本人の財産から支払われます。ただし、その費用は、家庭裁判所や後見監督人への報告事項の対象となりますから、領収書を保管し支出理由などを記録しておかなければなりません。

 任意後見の場合には、報酬や経費の支払いは当事者の合意で自由に決めることが出来ます。例えば、「報酬は毎月3万円とする」ということでも、また「報酬は経費を含み毎月10万円」という決め方もできます。

5.法定後見の申立て種類が分かりません

ほぼ寝たきりに近い母のために、私自身(娘57歳)が後見人となるための手続きをしたいのですが、「後見人」のほかに「保佐人」というのもあるそうで、どちらを申請すればいいのか、素人にはまったく分かりません。

(法定後見)

まず、家庭裁判所にお母さんの現状を説明して、後見人保佐人のどちらの申請が良いのか助言を受けてください。申請のために提出する医師の診断書には「保佐に相当」との判断が書かれていても、家庭裁判所は必要に応じて専門医による医学鑑定を実施して、その結果によって診断書とは異なる判断をすることもあります。「後見人の選任」を申請しても、医学鑑定で「保佐相当」との判断が出れば、「保佐人の選任」に変更するよう助言がなされることになります。

6.補助、保佐、後見の意味や違いが分かりません。

「法定後見」は補助、保佐、後見に分かれていますが、その説明を読んでも、どのような状態で区別されているのかまったく分りません。もっと分りやすい説明はないのでしょうか?

(法定後見)

 「補助」の対象者は、「精神上の障害に因り事理を弁識する能力が不十分な者」と法律で定められています。同様に「保佐」の場合は、「精神上の障害に因り事理を弁識する能力が著しく不十分な者」、「後見」については「精神上の障害に因り事理を弁識する能力を欠く常況にある者」となっていますが、確かに、これでは何の事かわかりません。表現を変えると以下のようになりますが、それぞれの判断は家庭裁判所が行うことになっていますので、あくまで判断の目安としてください。

補助とは:物忘れがあるが、そのことを自覚している。家族との会話や他人の説明なども、その場では理解できている。日常の金銭管理が不得意で、計算間違いが頻繁にある。

保佐とは:自覚しない物忘れがある。不必要な物や、目的のわからない買い物をする。大事な問題でも、判断ができず人の言いなりで決めてしまう。

後見とは:曜日や自分の居場所が理解できない。日常的な買い物もできない。常に誰かが付いていないと、生活が維持できない。

7.なるべく安く、成年後見を利用したいです。

母に認知症の症状が出始めました。僅かながら父の遺産の相続のこともあって「成年後見」の手続きが必要なのですが、私(娘)でも後見人になれますか?
なるべくお金がかからなくて済むようにしたいのですが、どのような方法がありますか?

(法定後見)

 成年後見人に資格は必要ありませんので、親族が後見人になるケースは少なくありません。

家族や親族が後見人となれば、後見人への報酬支払を考える必要もありませんので安心です。ただ、「法定後見」の場合、後見人の選任は家庭裁判所の権限となっていますので、候補者として申し出ることはできても、必ずしも選任されるという保証はありません。
近年の傾向としては、弁護士・司法書士などの第三者が後見人になるケースが極めて多くなっています。第三者後見人の場合には、必ず後見人報酬の支払いが発生しますのでご注意ください。
法定後見」申立ての手続きは、なるべくご自身で行って余分な出費は抑えましょう。

※ご自身での申立てが困難な場合には「市民後見センターきょうと」が手続きのご支援をいたします。但し有償サービスとなります。

8.本人の不動産を賃貸に出してはいけませんか?(*)

私は姉の後見人になっています。私たち姉妹は、親からそれぞれ不動産を相続しましたが、認知症の症状が出始めた姉が一人で生活することはできませんので、姉名義の土地・建物を賃貸に出したいと思っています。相続のときにお世話になった司法書士の方に相談したところ、「後見人は財産の維持管理が原則なので賃貸に出すことはできない」というお答えでした。
維持管理といっても、誰も住まわず放っておけば、家も傷み修繕にお金が掛かるだけですし、その修理費は姉の預金から払うことになります。賃貸に出せばそれなりの賃料も入ってきますので、姉の収入にまわすことができます。司法書士の先生の話では、「賃貸に出すことは財産の減少行為になる」というのが裁判所の考えだそうで、私にはまったく理解できません。どういう理屈なのか教えてください。

(法定・任意共通)

 成年後見人がご本人所有の不動産を賃貸に出す場合には、その不動産が本人の「居住用」のものであれば、必ず家庭裁判所の許可を得なければなりません。成年後見制度では「本人の判断力が低下しても、本人には可能な限り自立した生活をしてもらい、それを後見人が見守りながら支援する。」という基本的な考え方があります。ところが、「居住用」の不動産が、つまり本人の住居が売却されたり、賃貸に出されて、本人が生活の場所を失うことになれば、「自立した生活どころではなくなるではないか。」というのが家庭裁判所の考えです。

 「居住用」とは、現在住んでいる場所はもちろんのこと、本人が入っている施設や病院から戻った時に、直ちに住むことの出来る住居を言います。したがって、お姉さんが自宅とは別に本人名義のマンションを持っているような場合や、あなたの自宅にお姉さんを引き取るという前提で、お姉さんが暮らせる十分なスペースを確保できているような場合には、遊ばせておくだけの不動産を賃貸に出すことは可能だと思います。

 また、賃貸に出すために掛かる改装費などが多大で、賃料収入とバランスが取れないような場合には、不動産の財産価値を減らすことになりますので、家庭裁判所の許可が出ないこともあります。事前に、賃貸に出す必要性や収支の見通しなどについて、家庭裁判所または任意後見監督人と十分に話し合ってください。

9.診断書を出して貰うには、どうしたらいいですか?(*)

法定後見」を利用するため、家庭裁判所に診断書を提出する必要があります。診断書はどこで書いてもらえますか? また、内容はどのように書いてもらえばいいでしょうか?

(法定・任意共通)

 家庭裁判所では、申請の際に添付された診断書は「参考にする」程度のもので、その診断書に基づいて何らかの決定を下すことはないようです。診断書の作成は、医師であれば誰でもよいことになっています。したがって診断書は主治医や掛かり付けの先生に依頼されてよいのですが、成年後見のことを理解されていない先生も多いので、診断書の作成を拒否される場合もあります。その場合には、家庭裁判所が出している、「診断書作成の手引き」とその「記載例」を医師に見せれば、医師も書きやすいと思います。「手引き」と「記載例」は、当センターにも備えてありますので、ご利用ください。

「診断書作成の手引き」より抜粋

 「後見又は保佐の手続きの場合もこの診断書を用いることができます。ただし、後見及び保佐の手続きの場合には、診断書はいわば審理の手掛かりの役目を果たすにとどまるもので、植物状態など明らかに鑑定を必要としない場合を除き、原則として鑑定が必要となるため、診断書記載内容は必ずしもこの診断書記載のガイドラインによらず、従来から行われている簡易なもので足りると思われます。なお、本人の判断能力の具体的な程度を判断することができる場合には、それについても記載することが望まれます。」

 診断書の書式と診断書記載例をお送りします。メールまたはファックスでお申し込み下さい。
(下記のご相談コーナーから、どうぞ。)

ご相談コーナー

10.後見人となった後も、本人の資金援助は受けたいです。(*)

私の父(66歳)は3年前に交通事故に遭って脳挫傷となり、しゃべることも出来ず、ほぼ植物状態になってしまいました。賠償金のことや保険金の請求もありましたので、私が父の成年後見人になっています。事故の処理も終わって、まとまったお金が入りました。父が元気であったころには、私が結婚をして子供が出来たら、マンションの購入資金の頭金ぐらいは出してやると言っていましたので、マンション購入の準備を始めましたが、私が父のお金(賠償金・保険金)を、マンション購入に使ってよいものでしょうか。

(法定・任意共通)

 お父様の成年後見人としての立場を認識されてのご質問かと思います。お父様がお元気であれば、頭金をポンと払って簡単に済んでしまうところでしょうが、ご相談のケースではそれができませんので、後見人が被後見人から借金をするという形になります。

 しかしこれはまた、外見的には後見人が被後見人の財産を勝手に流用するのと見分けがつきませんので、そのような場合には家庭裁判所に申し立てて、特別代理人を選んでもらいます。その特別代理人がその借入れを妥当と認めれば、特別代理人成年後見人との間で金銭貸借の契約を結ぶということになります。すでに後見監督人が選任されている場合には、後見監督人が、上記の特別代理人の役割をしてくれます。特別代理人(後見監督人)は、ご本人の財産全体と、ご本人の長期的な生活費の総額や頭金の額などを考慮して判断することになると思います。まずは家庭裁判所に、過去の経緯などを含めて事情をよく説明し、理解してもらうことが先決です。

11.後見人になると、生活まで監視されますか?(*)

夫に若年性認知症の疑いがあると診断されて大変ショックを受けています。成年後見の手続きもしなければいけないと考えていますが、後見人になると裁判所から厳しく監視されて、生活費の支出などもいちいち報告しなければいけないと聞きましたが、本当でしょうか?夫婦としての生活を維持するためのお金を自由に使えなくなるのでしょうか?

(法定・任意共通)

 成年後見制度は、判断力を失った人の生活を守る制度で、ご本人が長期にわたって安心して暮らせる環境を維持して行くには、ご本人の財産が不正に流用されることのないように厳しく管理する必要があります。実際に、後見人による本人の財産侵害事件も少なからず起こっているようです。そのようなことを防止するために、家庭裁判所は後見人に対して財産の管理状況や支出についての定期的な報告を求めています。そのため、あなたがご主人の後見人になられた場合には、いつでも報告が出来るように収支の記録や領収書の整理などを行うことが求められて、また、特に普段とは違った特別な出費、高額な買い物があった場合などは、その理由などを細かく聞かれることもあって、少し窮屈な感じがすると思います。

 ただこれは、上記のような理由によるもので、夫婦の普段の生活に介入するということではありません。夫婦は法律上も「互いに協力し扶助する」ことになっていますから、ご主人の給与や年金を、夫婦の生活のために使うことに制約を受けることはありません。ただ、生活の仕方やレベルは、ご家庭によってそれぞれですから、後見人になられるときに、家庭裁判所や後見監督人に生活の実態をよく説明して、理解を得ておくのがよいと思います。

12.高齢と障害の姉弟を、どう支援したらいいですか?(*)

在宅介護支援センターの相談員ですが、ケアマネージャーからの相談を受けています。身よりのない、高齢の姉弟の二人暮らしで、弟は知的障害があります。姉としては、自身に何かあり、弟の面倒が見られなくなった時のことを心配して、自分に代わって本人の相談に乗って、金銭管理等を行ってもらえる人を求めています。姉が自分の任意後見人を決めれば、その人に弟のことも頼めるのか? その場合、姉が亡くなった場合はどうなるのか? そんなことがよくわかりませんので教えてください。

(法定・任意共通)

 高齢のご姉弟ということで、姉自身がいずれは高齢、病気などで寝たきりになり、判断力低下、認知症という可能性がありますから、姉が任意後見契約をしておく必要があると思いますが、これはあくまで姉自身の後見人を決めるということで、弟の世話のことまでを含めた契約はできません。障害を抱えた弟にも後見人が必要となりますが、現状のままで、姉が弟の後見人になっても実質的な意味はありませんので、将来「法定後見」の手続きが必要となった時に、その手続がすみやかに行えるように、「法定後見」の申立てをしてくれる人だけは、まず確保しておく必要があります。

 また、万一の場合に、弟が直ちに入居できるよう、弟を引き受けてくれる環境の良い施設を探して事前に依頼をしておくことや、弟の引受を条件として、その施設に対して姉が財産の一部を事前に贈与する契約を交わしておくという方法も考えられます。当事者である姉のご心配は当然の事と思いますが、まずは、解決が可能な部分と、解決できない部分を整理して、出来るところから着手していくことが大事だと思います。

13.保護者の認定を求められています。

母が認知症で入院をしております。今度転院することになりましたが今度の病院では保護者の認定を家庭裁判所で受ける必要があるとのことです。叔母には子供もなく兄弟も既に亡くなっており、近親者は甥が3人と姪が3人です。6人が話し合いましたが保護者のなり手が無い状態です。この場合家庭裁判所で甥、姪6人の中から保護者を認定してくれるのでしょうか。

(法定後見)

 通常「保護者の選任」という場合には、認知症の方ではなく精神障害の方を対象とするものです。家庭裁判所の説明では、「家庭裁判所は、申立てにより、精神障害者について、その扶養義務者(直系血族及び兄弟姉妹)の中から、保護者を選任します。」となっており、これは「成年後見制度」とは別の規定によるものです。また、手続上も「保護者」選任の場合には「精神障害者の診断書」を提出することになっており、成年後見の「認知症診断書」とは異なります。

 ただし、成年後見制度に基づいて選任された「後見人」や「保佐人」は、法律上の保護者となることが定められていますので、伯母様が認知症ということであれば、単なる保護者ではなく、成年後見制度での「後見人」「保佐人」の選任を家庭裁判所に求めるのが、本来の姿であろうと思います。おそらく病院ではそこの説明を端折っていたのではないかと推察します。また、家庭裁判所に「保護者」の選任をお願いしても、「成年後見人」の手続きに切り替えるよう指導があるものと思います。

 「保護者」の場合でも「成年後見」の場合でも、誰がその役割を引き受けるか、関係者で話し合って候補者を決めてから申請をすべきです。決まっていないと家庭裁判所でも困ると思います。ただ、決定権は家庭裁判所にありますので、候補者の希望を出しても、その通り家庭裁判所が認めるとは限りません。また、家庭裁判所の「保護者」の選任は、即日で処理が終わることもありますが、成年後見人の選任の場合には3ヶ月から6ヶ月もの期間を要することになります。いろんなご事情があろうかと思いますが、皆様でお話し合いをされて、伯母様のために成年後見人選任の手続きを、家庭裁判所に申請されることをお勧めします。

14.精神鑑定のことを教えてください。

父は長年、中学校の教師を勤めてきましたが、母の死をきっかけに生きる気力を失ったようで、半年ほどの間に急速に認知症が進んでしまいました。父のために私(息子)が成年後見の申立をしようと考えていますが、手続きのために鑑定費用というのが20万円もかかるそうで、またそれは申立をした者が負担するものだと聞き驚いています。本当にそんなにかかるのでしょうか? それから、鑑定をする先生は家庭裁判所が選んでくれるのでしょうか、それとも自分達で探さなければなりませんか?

(法定後見)

 最近は医学鑑定を省略する傾向がみられます。最高裁判所家庭局が発表した最新のデータでは医学鑑定の実施は全体の9%程度となっています。

 また、その費用についても、ほとんどは5万円以内で済んでいるようですから、あまり心配する必要はないかもしれません。

 成年後見の手続きのために支払った費用は、その申請(申立て)を行った人が負担することが原則ですが、鑑定費用をご本人(父親)の財産の中から支出することも認められますので、手続きの際に家庭裁判所と相談してみてください。

 成年後見申立て時の診断と鑑定について、規定では以下のようになっています。

本人の鑑定

 「後見」「保佐」の申立てについては原則として、本人の精神状態についての「鑑定」が必要となる。(鑑定では、申立時の「診断書」とは別に必要となる。)鑑定は、申立後に、家庭裁判所が「命じる」形になる。

※ 鑑定について、医師から内諾を得ている場合、申立時に鑑定費用も納付すると、手続が早くなります。鑑定を受けてもらえるかどうかを確認するための「医師へのお尋ね」を用意している家庭裁判所もあります。※ 本人が「ほぼ植物状態」で意思疎通が全くできない場合には、通常、鑑定が不要になります。該当しそうな場合は、申立時の診断書にその旨も付記してもらいます。
※ 鑑定は、家庭裁判所が強制的に行うものではないので、本人や介護者の協力が必要です。

 鑑定医については、もしもご本人の主治医が精神科・神経内科などの専門医である場合には、家庭裁判所が担当の主治医に鑑定への協力を依頼しているようです。主治医が鑑定を引き受ければそれで決まりますが、同意が得られない場合には、家庭裁判所が独自に鑑定人を探します。地域によっては専門医が少ない場合もあり、地域差がありますので、鑑定の件は家庭裁判所とよく相談してください。また、ご家族や知人にも協力を求めて、鑑定を引き受けてもらえる専門医を探す努力も必要です。

 以下のような制度を実施している自治体がありますので、役所にも問い合わせをしてみてください。

成年後見制度利用助成事業、支援事業

内容:認知症などの高齢者、知的・精神障害者などの生活や財産、権利を守るために「成年後見制度」を利用するときにかかる費用(申し立て経費)の助成。

助成金:成年後見制度の申し立てに要する経費(登記手数料、鑑定費用等)及び後見人等の報酬の全部または一部。

15.認知症と、はっきり診断してもらえません。

私の叔母(母の姉)は76歳で、3年前に夫を亡くし年金で単身生活を続けています。ところが最近、私も良く知っている叔母の友人の方から、どうも認知症の症状が出ているのではないかと連絡を受け、驚いて早速会いに行きました。いろいろと話をしてみると、確かに事実とは違う話がいくつも出て、認知症かもしれないという疑いがわいてきました。本人は以前から亡夫の兄弟と相続の問題で争いごとがあり、放置しておくと不利な状況になる可能性がありますので、知人の行政書士に相談したところ、本人のために成年後見人をたてることをすすめられました。
ケアマネージャーさんの紹介で神経内科の先生に診断をお願いしましたが、そのときに限って、叔母は先生の質問にははきはきと答えて、結果としては後見人申請用の診断書は書いてもらえませんでした。ヘルパーさんの話でも、銀行からの年金の引き出しも一人では出来ず、買い物も自分ではしたがらないようですが、実際の生活がそんな状態でも、検査のときの結果さえ良ければ後見人を立てることは出来ないのでしょうか。

(法定後見)

 おそらく医師は、ご本人が法定後見制度による「保佐人」や「後見人」を必要とする状態には至っていないと判断して、「診断書は発行できない」と言ったのではないかと思われます。このような場合には、任意後見契約の手続きを検討されることをお勧めします。任意後見制度では、任意後見契約の内容をご本人が理解していることを公証人が確認すれば、公正証書による任意後見契約を結ぶことができます。

 ただ、この契約に基づいて、任意後見人が仕事をするためには、ご本人の判断力が今以上に低下して、それを家庭裁判所が認定し、任意後見監督人を選任してからとなります。そのため、その期間をつなぐ意味で、あなたやお母様を代理人とする委任契約を同時に結んで、財産問題の管理を行うという方法を取ることもできます。

16.後見人は財産を相続できますか?

私の叔母が知的障害の息子を抱えており、その叔母から息子の成年後見人になってほしいと依頼を受けています。息子もすでに50歳を越えていますので、高齢となった叔母の心配はよく分かります。叔母は小さな商業ビルと駐車場をもっていますので、毎月の固定収入がありますが、私が後見人となった場合には、このお金を本人のために使うことになるのでしょうか? また、その息子が死んだ場合には、私はその財産を相続できるのでしょうか?

(法定後見)

 まず手続きとしては、あなたもしくは叔母様が申立人となって、あなたを法定後見人候補とする申請を家庭裁判所に提出することになります。家庭裁判所があなたを後見人と認める決定をした場合には、あなたは後見人として叔母様の息子さんの見守りや財産管理をすることになりますが、その管理財産はあくまでご本人の財産であって、叔母様の財産は含まれません。それはあなたが叔母様の後見人になった訳ではないからです。

 ご本人の生活には叔母様の収入が実際に使われているものと思われますが、そのお金をあなたが叔母様に代わってご本人の生活に使う場合には、きちんとした委任契約や贈与などの手続きが必要でしょう。叔母様との口約束だけでそのようなことを進めていると、あらぬ誤解や大きな問題を引き起こす可能性があります。

 つまり、ご本人との関係は「法定後見人」、叔母様との関係では「受任者」という立場をはっきりさせて、それぞれの財産をご本人のために管理するという慎重さが必要なのです。

 財産相続や贈与の問題は当センターの業務ではありませんので、コメントはできませんが、一般論としては、あなたがその息子さんの財産を相続するということはないようです。この問題については、叔母様との委任契約のことと併せて、公証役場で相談されるのがよいと思います。

17.生命保険金の請求はどうしますか?

癌で亡くなった父には生命保険の契約があり、母が受取人になっています。この保険金の請求をしたいのですが、母にはもう認知症の症状が出ています。大きな金額なので、本人確認も必要と保険会社からは言われていますが、どうしたらいいでしょうか。

(法定後見)

 認知症の症状が進んでいて、お母さんの判断力が極度に低下している場合には、あなた(娘)を後見人候補とする法定後見の申請手続きをして、家庭裁判所から成年後見人の選任を受けた上で、保険金の支払請求を行うのが正しい方法です。後見人の審判決定の書類が、本人確認のための重要な書類となります。

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